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2020年9月28日

平成16年度 日本植物病理学会大会(福岡)

■講演要旨

・上林千裕・樋口裕子・丸池和泉・宇佐見俊行・宍戸雅宏・雨宮良幹

・市販複合有機質資材のホウレンソウ萎凋病に対する発病抑制機構
Kambayashi, C., Higuchi, Y., Maruike, I., Usami, T., Shihido, M. and Amemiya, Y. : Mechanism of Fusarium Wilt Suppression of Spinach by a Commercial Compost Product.

市販複合有機質資材に認められたホウレンソウ萎凋病に対する発病抑制効果は、土壌中の微生物の活性化に起因するものと推察されたので、これらの微生物と発病抑制との関係について検討した。
資材添加後の糸状菌、細菌、放線菌、フザリウム菌の菌密度を栽培ごとに調査した結果、いずれも資材添加による影響をほとんど受けなかった。
また、資材を添加した土壌および根圏から検出される微生物をランダムに単離・培養し、それぞれを病原菌汚染土壌に添加して栽培試験を行ったところ、根圏由来の糸状菌で発病抑制能のある菌の割合がやや高かった以外は、資材添加の有無によって発病抑制菌率に顕著な差異は認められなかった。
しかし病原菌の厚膜胞子を用いた土壌中での発芽試験によれば、資材添加区で静菌作用が高くなる傾向が見られた。さらに、細菌を対象にしたDGGE解析では、土壌および根圏とも資材添加により群集構造に変化が認められた。

以上のことから、活性化した微生物は、特定の優先種よりも複数の構成種が機能して発病抑制効果を示すのではないかと考えられた。(千葉大園)